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遺言と遺留分侵害額請求権

遺言と遺留分侵害額請求権

 遺言を残す際には、遺留分のことも考慮しておかなくてはなりません。
ここでは、「遺留分侵害額請求権とは何か」ということと、「遺留分侵害額請求に対する対策」についてまとめました。

遺留分侵害額請求権とは

 遺留分侵害額請求権とは、遺留分権者が遺留分の侵害を受けたときに、遺留分を侵害した受遺者等に対して、侵害を受けた額を金銭債権として請求できる権利のことです。

遺言と遺留分侵害額請求権の行使

 遺留分の解説を読んで、「遺留分があるなら、たとえ遺言を残したとしても意味がないのでは?」とお思いになる方もいらっしゃるのではないかと思います。しかし、遺留分侵害額請求権は必ず行使されるとは限りません。遺留分権者が権利を行使すると意思表示をした時に初めて効力が発生するので、遺留分権者が意思表示を示さなければ、遺言書通りの財産分配が可能となります。

 なお、遺留分侵害額請求権の行使による金銭債権は、債権法改正法の施行日である令和2年4月1日より前に行使された場合は、請求権行使のときから10年で、令和2年4月1日以後に行使された場合は、請求権行使のときから5年で消滅時効にかかります。

遺留分侵害額請求に対する対策

 しかし、遺留分侵害額請求がされないことのみを期待して遺言を残すだけでは、あまりにリスクが高いので、遺言を残すに際には以下のような対策を検討してみましょう。

対策案
1. 遺留分に相当する財産を遺留分権者に相続させる

 例えば、自宅などの不動産を特定の人に与えたい場合、それ以外の遺留分権者には遺言で遺留分に相当する預貯金などの別の財産を相続させるように指定しておくという方法です。こうすれば、もともと遺留分を侵害していないわけですから、トラブルは発生しません。

 ただし、当然そのような別の財産がないと使えない方法です。

2.  生前に遺留分放棄してもらう

 遺留分は、被相続人の生前であっても家庭裁判所の許可により放棄することができます。生前に遺留分権者に遺留分を放棄してもらえば、相続発生後に遺留分侵害額請求権を行使することができなくなりますので、事前に相続トラブルを回避しておくことができます。

 ただし、生前に遺留分放棄するには、遺留分権利者が自ら家庭裁判所に対し、遺留分放棄の許可を申し立てる必要があるのですが、申立てが認められるには以下のような要件が必要であり、必ず許可されるとういうものではないことに注意が必要です。
 

① 遺留分放棄が本人の自由意思にもとづくものである事。

 遺留分権利者が自発的に遺留分を放棄する必要があります。被相続人が無理矢理遺留分を放棄させることは認められません。

② 放棄の理由に合理性と必要性がある事。

 たとえば、「ある相続人には経済的な援助を行った経緯がある。」、「遺留分を放棄しておかないと将来遺留分トラブルが発生しそうである。」などの事情が必要です。

③ 代償性があるかどうか

 遺留分を放棄する前提として、何らかの対価的な財産が与えられていなければなりません。何も渡さずに一方的に遺留分を放棄させることはできないのです。

3. 遺言の中に「遺留分侵害額請求権を行使しないで欲しい」との付言事項を記載しておく

 誰かに遺産のすべてを相続させたい場合は、遺言書に付言事項として「遺留分侵害額請求をしないで欲しい」という一文を入れておくのです。そしてそこに、遺留分を侵害してまで一部の相続人に財産を相続させることにした理由をも記載しておけば、遺留分侵害額請求権の行使をためらわせる効果も期待できます。

 例えば「長男には生前に店の開業資金と住宅取得資金として既に3,000万円を与えているので、死後の財産は二男にあげたいと思うので、遺留分侵害額請求権を行使しないことを願います。」、「長女には生前に結婚費用及び住宅資金として既に2,000万円を与えているので、死後の財産は不動産も含め次女にすべて相続させたいので、長女は遺留分侵害額請求権を行使しないで欲しい」といった内容を遺言書に記載するのです。ただし、この付言事項には法的強制力はありません。しかし、現存する故人の最後のメッセージとして、相続人に与える心理的な効果が期待できます。

4.養子縁組を利用する

 養子縁組を利用することにより、遺留分侵害額請求権を行使しそうな人の遺留分割合を減らすことができます。たとえば、遺言者が再婚で先妻との間の子がいる場合で、後妻と後妻との間の子だけに自宅などの不動産を相続させたい場合、後妻との間の子に子(孫)がいれば、その孫を養子とすることにより相続人の数を増やせば、先妻との間の子の遺留分はその分少なくなります。そうすればその分だけ、遺言によって現金や預貯金などの流動資産を、先妻との間の子に遺留分に相当する財産として指定して相続させることが容易になります。

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