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遺言の種類と方式

遺言書の種類

普通方式と特別方式

遺言には7種類の方式があり、それぞれの方式に作成のルールが決められていて、これらに違反して作成したものは無効になってしまいます。遺言が口頭のみでなされて書面が作成されていない場合や、書面が作成されていても方式を欠いている場合には、遺言が成立したことにはなりません。
民法では、普通方式として、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類を、特別方式として、危急時遺言(一般危急時遺言、難船危急時遺言)と隔絶地遺言(一般隔絶地遺言、船舶隔絶地遺言)の4種類の方式を定めています。このうち、一般的に使われるのが普通方式で、中でも公正証書遺言自筆証書遺言がほとんどで、秘密証書遺言はあまり使われていません。

 遺言の要式を厳格にするのは、遺言者に慎重に考えてもらった上で、遺言の内容を明確にし、偽造や変造を防止して遺言の存在を確保することによって、遺言者の真意を確実に残すためです。

普通方式の遺言

自筆証書遺言

民法の定める7種の遺言の方式の中で最も簡単で、遺言書の作成を秘密にしておくことができる方式の遺言です。その反面、紛失、毀損、偽造・変造の恐れはあります。
 自筆証書によって遺言するには、自分で、遺言の内容の全文と日付及び氏名を書いて、署名の下に押印しなければしなければなりません。

自書

自分の手で書かなければなりませんので、全文をパソコンで作成した遺言は無効です。字の書けない人は、公正証書遺言または秘密証書遺言によるほかはありません。自書が要件とされている理由は、筆跡によって本人が書いたものであることが判定でき、それ自体で遺言が遺言者の真意に出たものであることを保証することができるからです。なお、平成30年民法等の改正により遺言の方式が緩和され、平成31年1月13日以後は、財産目録については手書きでなくパソコンなどで作成しても良いこととなりました。ただし、その目録の毎葉に署名押印が必要です。

日付

日付の自書が要件とされているのは、遺言者の能力を判断する標準時を知るためと、2通以上の遺言書が現れた場合にその前後を確定して遺言者の真意を判断するためです。作成年月日が自書されていない自筆証書遺言は無効です。また、「〇年〇月吉日」という記載の遺言書は、日付の記載としては不正確ですので、日付の記載がないものとして無効となります。

氏名

氏名は、戸籍上のいわゆる本名でなくて、雅号・芸名・屋号であっても、筆者の同一性が確認できれば、遺言は有効と認められます。名前だけで姓の記載のないものでも有効とされた判例はあるようですが、フルネームで書かれた方が良いことは言うまでもありません。

押印

押印の習慣のない外国人において、署名だけで有効とされた判例はあるようですが、日本人の場合は、署名だけでは厳しいでしょう。なお、押印は拇印で足りるとされている判例があるようです。

遺言中の加除、訂正

自筆証書遺言中の加除、訂正をする場合は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記してこれに署名し、かつ、その場所に押印しなければいけません。なお、法定ではありませんが、遺言書が2枚以上になる場合は、後日の紛争を避けるためにも、用紙を綴じた上で割印をした方が良いでしょう。

公正証書遺言

公正証書遺言は、①証人2人以上の立会いのもとで、②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、③公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ又は閲覧させ、④遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自が署名押印し(遺言者が署名出来ない場合は、公証人がその事由を付記して署名に代えることができます。)⑤公証人が、その証書は方式に従って作成したものである旨を付記してこれに署名押印すること、という方式で作成されます。

公正証書のメリット
  1. で公証人が関与するので、方式不備の理由で無効となったり、意味不明のため後日紛争になることがほとんどありません。
  2. 遺言者が文字が書けなくても作成できます。
  3. 原本は公証人が保管するため、その存在が明確で、紛失・改変のおそれがありません。
  4. 他の方式と異なり、相続開始後に家庭裁判所で「検認手続」をする必要がありません。
  5. 公証人に自宅や病院に出張してもらって公正証書遺言を作成してもらうことができます。(ただし、公証人が所属する役場のある都道府県内のみ可能です)
公正証書のデメリット
  1. 公証人の関与が必要で、必要書類も用意しなければならず、自筆証書遺言のように「思い立ったらすぐ」というわけにはいきません。
  2. 証人2人以上の立会いが必要です。
  3. 自筆証書遺言にくらべて費用がかかります。

公正証書遺言作成の必要書類や証人の要件については、「公正証書遺言作成の必要書類」をご覧ください。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言の内容を「誰にも」知られたくない場合にとられる方式です。その方式は、①遺言者がその証書に署名、押印し、②遺言者がその証書に封をして証書に用いた印章でこれに押印し、③遺言者が、公証人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述し、④公証人がその証書を提出した日付及び遺言者の申述を封書に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名押印することによって作成されます。加除・訂正の方法は自筆証書遺言の場合と同じです。
 自筆証書遺言とは異なり、遺言書の本文・日付・住所は自書しなくても良いので、自分でパソコンで打ってもよく、他人に書いてもらったり、パソコンで打ってもらっても構いません。ただし、署名は必ず遺言者自身がしなければなりません。

 

証人適格についての注意

証人になることができない人は、公正証書遺言の場合と同じですが、公正証書遺言とは異なり公証人は遺言の内容を知ることができません(公証人にも内容は秘密なのです)。証人不適格者が証人になっていても公証人には分かりませんので、遺言者が自分で注意しなければなりません。仮に、証人2人のうち1人が証人適格でない場合、証人は1人しかいないことになり、秘密証書遺言は無効になってしまいます。

 なお、このように秘密証書遺言が要件を欠いていて無効な場合でも、自筆証書遺言としての要件を充たしていれば、自筆証書遺言としては有効と認められます。

特別方式の遺言

一般危急時遺言

生命の危険が急迫しているときには、厳格な要件を充たすことが困難ですので、遺言者の最終の真意を確保するため、要件が緩和されています。
 疾病その他の事由によって死亡の危急の迫った者が遺言しようとするときは、証人3人以上が立ち会い、そのうちの1人に遺言の趣旨を口授をして遺言することができ、口授を受けた者がこれを筆記し、遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させ、各証人がその筆記が正確なことを承認した後、これに署名押印しなければなりません。署名・押印ができない者がある場合には、立会人又は証人は、その事由を付記しなければなりません。

 なお、この遺言については、遺言の日から20日以内に証人の1人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力は生じません。

難船危急時遺言

船舶が遭難した場合において、船舶中に在って死亡の危急の迫った者は、証人2人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができます。この遺言は、証人が、その趣旨を筆記して、これに署名押印し、かつ、証人の1人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求してその確認を得なければその効力は生じません。

一般隔絶地遺言

伝染病のため行政処分によって交通を絶たれた場所にいる者は、警察官1人及び証人1人以上の立会いをもって遺言書を作ることができます。民法の条文上は「伝染病のため行政処分によって」とありますが、裁判によって刑務所にある者や、洪水や地震によって事実上交通を絶たれた場所にある者を含むと解されています、なお、遺言関係者のうちに署名押印ができない者があるときには、立会人又は証人は、その事由を付記しなければなりません。

船舶隔絶地遺言

船舶中にある者は、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いをもって遺言書を作ることができます。船舶中とは、航海中に限らず、停泊中を含むと解されています。この遺言をすることができるのは、旅客と事務員(船長以外の船舶職員)です。

 なお、飛行機で渡航中の者は、短時間で隔絶地は解消しますので、この遺言のような特別方式は認められません。飛行機で渡航中の者は、一般方式の自筆証書遺言によって遺言することができますし、危急時であれば一般危急時遺言をすることもできます。

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